院長日記16

インプラントには、長い歴史があります。紀元前のエジプトには王族の死後、死者の顎に、石や鉱物でインプラントを施す文化が存在しました。 手法としては現在のものとあまり変わりありません。

現在のインプラントの特徴としては、材質がチタン系となったことです。生体親和性の高い材料になったことでインプラントの成功率は飛躍的に向上しました。もう1つの要因として、CTの普及が挙げられます。骨に埋入するインプラントにおいて、骨位置、骨量、骨密度の正しい把握は非常に重要です。CTが普及したことによって安心安全なインプラント治療が施されるようになりました。

近年のインプラント治療の最も大きな進化は、歯周病対策です。対策技術が開発されるまでは、虫歯にはならないが(金属なので当然ですが)、歯周病には罹患していました。その為、歯周病に罹患したインプラントが骨髄炎の原因になるケースが少なからず見受けられていました。それが技術の進歩により歯周病に罹患せず、骨髄炎のリスクが非常に小さい状態で長期使用が可能となったのです。

今後の大きな潮流としては、

①CTデータを利用した手術の簡易化

②より生体親和性の高い材質の開発

③咬合による揺れを防ぐのではなく、許容する機構をインプラント構造に内蔵

④歯根膜を培養することを前提としたインプラント治療  等が研究されています。

これからも進化を続けるインプラント治療において重要なのは、最新のインプラント治療を受ける事、それと、インプラント治療の必要性(なぜインプラント治療が必要な状態なのか)の精査と治療後の経過観察です。